なぜいつも高野豆腐?がんもどき?
こんにちは。
だいぶ来年度の介護報酬についても話題が出ていますね。
安部政治が良いのか悪いのかなんて言うことは、わたしには何とも言えないけれど、最近こういうトピックスが新聞でも一面になり、興味を持つ人が増えている(気がする)。
ここまでの安部政治の取り組みが、これまで若干日陰感のあった「介護」に目を向けさせる一因となっているのは確かなような気がします。
高野豆腐
お好きな方いらっしゃいますか?
精進料理なんかによく入っている、四角くて、ふかふかしていて、かむとお出汁がじゅわ~なアレです。
わたしは大人になってからおいしさがわかるようになりました。
鉄分も多いので妊婦・授乳期には食べなくちゃ!とおもっていましたが、今はとんとご無沙汰です。
それが何かといいますと、うちの施設でよく出てくるんですね。
前回ちらっと書きましたが、わたしの職場は介護施設です。
もちろん、元気ピンピン(といっても介護保険の受給者なのでそれなりになにかはある)の方もいますが、ヘビーな既往歴のある方もたくさんいらっしゃいます。
脳血管疾患の後遺症、口腔がんの後遺症などで嚥下障害(飲食物の飲み込み障害)を持っていらっしゃる方もたくさん。
そして、嚥下障害の方に高野豆腐はとっても危険です!
高野豆腐、がんもどき、ミカン・・・
Q,共通することは何でしょう?
A,中に水分が蓄えられていて、かんだとたんであふれ出てくるところ。
高齢者や上記の後遺症等で嚥下障害になっている方は、ゴックンと飲み込むときの喉の動きが遅いかたが多くいらっしゃいます。
すると、かんだ瞬間に飛び出してくる水分に喉がついていけず、むせたり、場合によっては気管や肺に入って肺炎を起こしたりするのです。
皆さん説明をするとよく驚かれますが、「水ですらむせる」ではなく、「水はむせやすい」のです。
コップに水を入れて傾けましょう。ザバーっとこぼれますよね。
じゃあ、はちみつだったら?ゆっくりゆっくりコップの壁を伝ってでてきます。
ご飯の塊だったらどうでしょう?コップに張り付いて、なかなか落ちにくいでしょう。
人間の口がコップ、コップの中身は喉にこぼれていくと考えてください。
そう考えれば、上記した通り、のどの動きが遅くなっていると、落ちてくる速度の速い液体には間に合わず、気管に入りやすいのは想像できますね。
はちみつならのんびり落ちてきますから、タイミングを合わせてゴックンしやすいのですね。
ごはんだと、べたべたあちこちにくっつきますから咀嚼をします。
咀嚼することで唾液が混ざって滑りやすくなり、また形もまとまりがよくなって通りやすくなるのです。
さてさて、では高野豆腐は?
咀嚼したとき、口の中には高野豆腐の塊が残っています。そしてお出汁はジュワ~と勢いよく飛び出します。
コップでいえば、底のほうに塊を残したまま水気だけが零れ落ちてきているわけです。
どうでしょう?
お出汁と高野豆腐は形が違うので、喉に落ちていくタイミングもずれがあります。だから、高野豆腐を口腔内に収めたままお出汁だけ飲み込みます。
この時、舌は上あごと一緒に高野豆腐を包んで喉に落ちないように抑え、水分だけゴックンと飲むために喉の組織が動きます。
でも、舌と喉の組織はつながっているので、この時の口から喉への動きはとても複雑になります。
麻痺や、加齢による筋力低下等で動きが遅くなっていると、一連の作業がスムーズに行われず、これらの食材はとても食べにくいのです。
これ、嚥下障害のめちゃ基本です。
だが、
出てくるんだなぁ、これが。
うちの施設は調理スタッフがとても理解あるメンバーなので、そういうことに早めに気付いてくれます。
ちなみにわたしも、出勤していれば危険そうな方には注意をして食事時を過ごすようにしています。
それでも、万が一を考えるとすごく怖い。
このリスク食材を当然のごとく選択する、その心は?!と問いたい、栄養士さん!
煮物にはおいしいよね。栄養もあるしね。
でもね、安全第一だと思うんだよね!
誤嚥性肺炎おこしたら、最悪の場合、最悪の場合があるよ。
と、いう最近のわたしの悩み事。
続くようであれば上訴してみよう。
それもわたしがここで働いている理由の一つのはず。
危険性を認識できるのだから、それを今度は広めなくっちゃ。